2006年10月21日

『キプロスの苦いレモン』

Bitter Lemons of Cyprusという本を読み終わった。Departmentの友達に奨められたものだ。ローレンス・デュレルというイギリスの著述家・詩人がキプロスに移住したときの記録だ。Durrellが移住してからしばらくして、キプロスの独立運動(かつてはイギリスの植民地だった)が起きるのだが、だいたい独立運動の最初ぐらいまでが記録されている。ということは、1950年代の話のようだ。

本の半分ぐらいは、平和なキプロスで、デュレルがいかにして友達を作り、古い家を買い、修復し、学校で教えたかみたいな、まあどうでもいいような話なのだが、後半がとても興味深かった。

キプロスで独立運動が盛んだったとき、急進的な独立推進派がテロ活動を行い、無関係な民間人を殺害して回ったらしい。その裏には、ギリシャ政府があって、Durrellは、ギリシャで訓練を受けたテロリストが派遣され、運動を指揮していたのではないかと考えている。デュレルがかつて学校で教えていた少年も、狂信的な独立思想に染まってテロリストに姿を変える。ギリシャ・キプロス人のテロリストとにわかテロリストたちは、無関係な民間人を、ギリシャ人であれ、トルコ人であれ、爆弾や銃で暗殺してゆく。理論では正当化できない行為。しかし、それが恐怖による支配、テロルの本質なのだろう。

と聞くと分かると思うが、規模は違うものの、現在のイラクの状況と重なる部分がある。Durrellによるテロリズムの記述を読んで、イラクで自国民を殺して回るテロリストがどんな感じの人たちなのか分かったような気がする。もちろん、彼らの考え方が理解できるわけではないのだが。
posted by kappa at 15:52| ロンドン ????| Comment(0) | TrackBack(0) | ギリシャ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする